腎臓内科グループ
概要
腎臓内科グループは、リウマチ膠原病グループと密接な関係を保ちながら、各種腎疾患および高血圧疾患の診療にあたっています。慢性腎臓病の病診連携から、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、膠原病に伴う腎障害、急速進行性腎炎などの各種糸球体疾患診療、慢性腎不全、急性腎不全などの血液浄化治療、維持透析患者のアクセス管理など、移植治療以外の腎臓病診療を当院で完結できることを目標としています。
人工腎センターでは透析ベッド40床を有し、連日2部体制で維持透析治療を行っており(夜間透析はありません)、CAPDの管理も行っています。維持透析専門施設である喜多町診療所と病診連携を緊密にしています。
また当院は救命救急センターを併設していることから、急性腎不全、薬物中毒、多臓器不全等の救急患者の血液浄化療法や、さらに他の透析施設から手術や治療のための転院を積極的に多数受け入れています。
日本腎臓学会認定施設、日本透析医学会認定施設、日本高血圧学会認定施設
ご挨拶
中越地区の基幹病院として、エビデンスに基づいた標準医療を提供できるよう心掛けるとともに、先進的な治療にも積極的に取り組んできました。新潟大学からの出張医2名とともにチームで診療にあたっています。
特色・方針
病態を正確に把握することに努め、その患者さんに最もふさわしい治療は何かを考えながら診療にあたっています。腎生検も積極的に行い、正確な診断を心がけています。
また、保存期腎臓病教室も定期的に開催し、さらに腎臓外来での減塩・タンパク制限などの食事指導にも力をいれています。
リウマチ・膠原病グループ
概要
全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、血管炎、シェーグレン症候群などの膠原病、関節リウマチを中心とするリウマチ性疾患についてリウマチ・膠原病専門医が中心となって診療にあたっています。なお関節リウマチにつきましては2014年より内科リウマチ専門医と整形リウマチ専門医が共同でリウマチセンターを開設し、看護師、薬剤師、リハビリ部門も一緒になって総合的に関節リウマチ診療に携われる体制となりました。 日本リウマチ学会認定施設。 →リウマチセンターへ
ご挨拶
膠原病は、根本的な原因は不明ですが、多くの場合、なにかのキッカケで免疫のバランスがくずれ、本来外敵をやっつけるはずの免疫力が自分自身の体に悪さをしてしまう、いわゆる“自己免疫”的な機序により発症してくると考えられています。何か得体のしれないこわい病気というイメージがありますが、その中には多くの疾患が含まれ、症状、治療法、経過も個々の患者さんで異なります。現在まだ根本的治療法はありませんが、近年効果の高い新薬が次々と出てきており、進歩の著しい分野です。決して不治の病ではありませんし、普通の日常生活を送れるように、というのが私たちの目標です。当科では膠原病、関節リウマチ専門医(日本リウマチ学会専門医)を中心に、腎グループ医師、新潟大学腎・膠原病内科からの出張医からなるチームで、膠原病・関節リウマチ全般にわたり個々の患者さんの状態に合わせた最適な治療を考えていきます。膠原病新患外来は紹介状なしでも受診できますが、紹介状をお持ちの方の診療が優先されますのでご了承ください。なお、すでに他医療機関で診療を受けていらっしゃる方は医療情報が非常に重要ですので必ず紹介状をお持ちください。
特色・方針
リウマチ・膠原病専門医ならびに各科専門医が常勤し、かつ救急救命センターや感染症病棟も備えている総合病院ですので、リウマチ・膠原病のどのような病態にもいつでも対応できます。科学的根拠に基づき、個々の患者さんの症状、合併症、社会的背景などを考慮して総合的に治療方針をたてていきます。関節リウマチはメトトレキサートを中心とした従来型の抗リウマチ薬に加え、さらに効果の高い生物学的製剤はじめ新規治療薬も積極的に取り入れています。なお中越地区のリウマチセンターとして周辺の開業医の先生との診療連携やリウマチ教育にも力をいれています。
腎臓内科グループ
対象疾患について
糸球体腎炎(慢性・急性)、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、急速進行性腎炎症候群、血管炎症候群、多発性嚢胞腎、慢性腎不全、急性腎障害、高血圧症、電解質異常・酸塩基障害など
実績
2016年(2016年1月~12月)
維持血液透析患者 | 100-120名/日 |
CAPD患者 | 11名 |
経皮的腎生検 | 36例 |
新規血液透析導入 | 30例 |
新規CAPD導入 | 3例 |
内シャント設置術 | 31例 |
人工血管シャント設置術(血管外科と共に) | 21例 |
アクセス修復術 | 46例 |
経皮的シャント血管形成術(循環器内科と共に) | 94例 |
長期留置カテーテル留置 | 11例 |
リウマチ・膠原病グループ
対象疾患について
主なものについて説明します。
各々の疾患の詳細についてはリウマチ情報センターHPをご覧ください。
関節リウマチ
有効性の高い薬剤が次々出てきており、早期に診断、治療を行えば進行を予防することができるようになってきました。またすでに関節破壊が進行した方でもその破壊の進行を遅らせたり、手術によって機能を取り戻したりできるようになってきています。内科と整形両方の専門医が常勤しておりますのでいろいろな方面から治療を考えていきます。
全身性エリテマトーデス
若い女性に好発し、発熱、関節痛、皮疹、尿異常などで発見されることが多い疾患です。ステロイドや免疫抑制剤の治療が中心となり、継続的な診療が必要ですが、通常の生活を送ることは十分可能な疾患です。妊娠、出産の相談にも応じています。
シェーグレン症候群
唾液腺や涙腺に慢性の炎症がおこり、いわゆるドライアイ、ドライマウスをきたす中年の女性に好発する疾患です。乾燥症状については対症的治療が中心となりますが、腺外症状がおきた場合はステロイドなどの治療が必要になります。眼科、耳鼻科、歯科等各科と連携して治療にあたります。
全身性強皮症
手指をはじめとした皮膚が硬くなり、内臓にもいろいろな病変が出てくる可能性のある疾患で、膠原病の中でも治療の難しい病態です。病型によって合併症のでるリスクなどに差がでてきますのでまずは正しく診断を行い、病状にあわせた治療、検査計画をすすめていきます。
血管炎
血管の壁に炎症が起こってくる疾患で、傷害される血管の太さや臓器により、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症(旧:ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧:アレルギー性肉芽腫性血管炎)等種々の疾患に分かれます。重要な臓器に出血や血管がつまる虚血の症状がおこることがあり、正しく診断して早期にきっちりと病気の活動性をおさえなければいけません。画像検査、組織検査などを迅速にすすめ、種々の治療薬を駆使していきます。
ベーチェット病
再発性口内アフタ、眼症状、皮膚症状、外陰部潰瘍を主徴とする疾患です。まれに腸管、血管、神経にも病変がおこることがあります。眼科、皮膚科、消化器内科などと連携して病型に応じて種々の薬剤を使い分けていきます。
IgG4関連疾患
膠原病には含まれませんが、新たな疾患として注目されている病態です。原因は不明ですが、血清のIgG4という値が上昇し、いろいろな臓器が腫れることで発見されます。傷害臓器としては唾液腺、涙腺、リンパ節、膵臓、腎臓、大動脈周囲などの頻度が高いです。ステロイドがよく効きますが、必ずしも治療が必要でない方もいらっしゃいます。またこれに似た別の疾患も多いため診断が難しいこともしばしばです。当科ではこの疾患の発見当初から診断、治療にかかわってきており、患者さんの状態に合わせた治療を提供していきます。
その他
混合性結合組織病、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病、抗リン脂質抗体症候群、強直性脊椎炎、再発性多発軟骨炎、反応性関節炎、自己炎症症候群など種々の疾患の診療を行っております。なお、筋炎につきましては当科でも診療いたしますが、筋炎がメインの場合は神経内科が、呼吸器病変が主な場合は呼吸器内科が主に担当しております。
実績
新潟県中越地区で日本リウマチ学会教育施設に認定されている唯一の病院です。そのため周辺医療機関より非常に多くのご紹介をいただいております。関節リウマチにつきましては2014年から整形と内科の専門医が一緒になってリウマチセンターを開設し、総合的に診療にあたっています。生物学的製剤は関節リウマチを中心として2017年9月までに895件導入してきました。血管炎、ベーチェット病、強直性脊椎炎などにも適応が拡大したためさらに導入は増加しています。
腎臓内科グループ 医師紹介
氏名 | 職位 | 専門領域 | 認定資格等 |
---|---|---|---|
山﨑 肇 (昭和61卒) |
副院長 部長 人工腎センター長 |
腎臓内科 高血圧内科 総合診療内科 |
日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本腎臓学会専門医・指導医 日本透析医学会専門医・指導医 日本高血圧学会専門医・指導医 日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医 |
井口 昭 (平成17年卒) |
副部長 | 腎臓内科 | 日本内科学会認定内科医 |
佐藤 勇也 (平成23年卒) |
リウマチ・膠原病グループ 医師紹介
氏名 | 職位 | 専門領域 | 認定資格等 |
---|---|---|---|
佐伯 敬子 (昭和60年卒) |
部長 | 内科 リウマチ科 腎臓内科 |
日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本リウマチ学会専門医・指導医 日本腎臓学会専門医・指導医 日本透析学会専門医 |
伊藤 朋之 (平成12年卒) |
部長 | 内科 リウマチ科 総合診療内科 |
日本内科学会認定内科医・指導医 日本リウマチ学会専門医 日本プライマリ・ケア連合学会認定医 |
患者さんへ ~臨床データの研究利用に関するお願い~
アレルギー疾患合併の有無によりIgG4関連疾患の臨床像に差があるかを明らかにする後方視的研究の臨床データの利用に関するお願い
“IgG4関連疾患”は21世紀に入ってから日本で最初にその存在に気づかれた疾患です。一見腫瘍のように臓器が腫れ、顕微鏡でみるとリンパ球と形質細胞がたくさん見られ、血液検査で免疫グロブリン(IgG)という蛋白のIgG4の成分が増加し、組織中の形質細胞の多くがIgG4染色で陽性になることで診断されます。当初自己免疫性膵炎(膵臓)、ミクリッツ病(涙腺、顎下腺の対称性腫脹)で気づかれた病態ですが、その後全身(リンパ節、腎臓、後腹膜、肺など)でみられることがわかってきました。原因として自己免疫、アレルギーなどの機序が推測されていますが、今のところまったく不明です。治療薬としてステロイド剤が有効ですが、減量、中止で再燃が多いため、この疾患の病態を解明してよりよい治療法を確立することが重要です。
当科ではこの疾患がみつかった頃からこの疾患に注目し、多くの患者さんを診てきました。本研究は、2004年1月から2016年12月の期間に当院でIgG4関連疾患と診断した患者さんの臨床データ(アレルギー歴、血液データ、傷害臓器の分布、治療内容など)を収集分析し、アレルギーとこの疾患の関連を調べることを目的としています。研究成果は学会や医学論文などに発表されることがあります。
データ利用のお願いと申し出について
これらの臨床データは通常の診療で過去に記録されたもので、患者さんに新たな負担はありません。また、個人を特定できるような状態でデータを使用することはありません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、本研究に関するさらなる説明をご希望の方、また、本研究において臨床データの利用を希望されない方は下記問い合わせ窓口にご連絡ください。研究不参加を申し出られたとしても、患者さんが不利益を受けることは一切ありません。
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 (腎、膠原病)内科
担当医師:佐伯 敬子〒940-2085 新潟県長岡市千秋2-297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX :0258-28-9000(代)