概要
歯科口腔外科では、口腔内とその周囲組織に生じるあらゆる疾患を治療対象としています。その中でも、病院歯科という特徴を生かし、近隣の病院、歯科医院からご紹介頂く埋伏歯などの歯の疾患、口腔がんなどの口腔腫瘍、口唇裂・口蓋裂などの先天異常、顎顔面骨骨折などの外傷、顎骨炎などの炎症、口内炎などの口腔粘膜疾患、のう胞、顎関節症などの顎関節疾患、顎変形症、口臭症など、入院、手術、最新の検査機器による診断、他科の医師との連携などを必要とする患者さんの治療を重点的に行っています。
ご挨拶
長岡赤十字病院歯科は戦前から診療を開始し、長い間新潟県中越地区の歯科医療の一翼を担ってきました。1960年代からは口腔外科学教室の出身者が赴任するようになり、病院歯科の特徴を生かした診療が行われるようになりました。1980年代になると日本口腔外科学会認定専門医が常勤し、口腔がんなど専門性の高い口腔外科疾患の治療や有病者の歯科治療を開始しました。2010年10月からは日本口腔外科学会認定准研修施設、2013年10月からは日本口腔外科学会認定研修施設としてより幅広い口腔外科疾患の治療、医科入院患者の歯科治療、有病者の歯科治療および歯科口腔外科専門医の育成を行っています。
特色・方針
地域完結型の医療をめざし、地域の他の医療機関と連携しあらゆる歯科口腔外科疾患に対して高度な医療を提供しています。
特に、病院歯科の特徴を生かした入院診療をはじめ、医科領域でも使用する各種検査診断機器、医療設備、医療材料などを利用し、全身状態に配慮した診療を行っています。また、医師、薬剤師、看護師、歯科衛生士、言語聴覚士など高度な専門性を有するスタッフと協力体制をとり、安全で安心できる医療を提供しています。
当科は日本口腔外科学会研修施設、日本小児口腔外科学会研修施設、日本がん治療認定医機構研修施設、日本口腔腫瘍学会研修施設、日本顎関節学会研修施設の認定を受けています。
対象疾患について
- 歯および歯周疾患(う蝕、歯周炎、埋伏歯など)
- 先天異常(口唇裂・口蓋裂、小帯付着異常など)
- 変形症(受け口等の顎変形症など)
- 外傷(骨折、歯の脱臼、軟組織損傷など)
- 炎症(骨髄炎、骨炎、智歯周囲炎など)
- 口腔粘膜疾患(口内炎、扁平苔癬、白板症など)
- 良性腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫など)
- 悪性腫瘍(口腔がんなど)
- 嚢胞(歯根嚢胞、含歯性嚢胞など)
- 顎関節疾患(顎関節症、顎関節脱臼など)
- 唾液腺疾患(唾石症、唾液腺炎など)
- 神経疾患(三叉神経痛など)
- 歯科心身症(舌痛症など)
- その他
実績
新患者数(平成28年度)
総数 | 2,191名 |
歯および歯周疾患(う蝕、歯周炎、埋伏歯など) | 1,509 名 |
先天異常(口唇口蓋裂、小帯異常など) | 16 名 |
変形症(顎変形症など) | 3 名 |
外傷(骨折、歯の脱臼、軟組織損傷など) | 60 名 |
炎症(骨髄炎、骨炎など) | 106 名 |
口腔粘膜疾患(扁平苔癬、白板症、アフタなど) | 119 名 |
良性腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫など) | 50 名 |
悪性腫瘍(癌腫、肉腫など) | 17 名 |
嚢胞(歯根嚢胞、含歯性嚢胞など) | 106 名 |
顎関節疾患(顎関節症、顎関節脱臼など) | 93 名 |
唾液腺疾患(唾石、唾液腺炎など) | 13 名 |
神経疾患(三叉神経痛など) | 25 名 |
歯科心身症(舌痛症など) | 30 名 |
その他 | 44 名 |
中央手術室手術件数(平成28年度)
総数 | 125 名 |
口唇裂・口蓋裂 | 8 名 |
変形症 | 5 名 |
歯・歯槽手術 | 11 名 |
外傷 | 15 名 |
消炎手術 | 4 名 |
嚢胞 | 45 名 |
良性腫瘍 | 9 名 |
悪性腫瘍 | 23 名 |
唾液腺疾患 | 5 名 |
医師紹介
氏名 | 職位 | 専門領域 | 認定資格等 |
---|---|---|---|
飯田 明彦 (昭和63年卒) |
部長 | 口腔外科 | 日本口腔外科学会認定専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医(歯科口腔外科)、暫定教育医 日本口腔腫瘍学会暫定指導医 日本顎関節学会認定顎関節症専門医・指導医 日本小児口腔外科学会認定専門医・指導医 |
小林 孝憲 (平成14年卒) |
副部長 | 口腔外科 | 日本口腔外科学会認定専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医(歯科口腔外科) |
永井 孝宏 (平成24年卒) |
口腔外科 | ||
成松 花弥 (平成25年卒) |
口腔外科 |
患者さんへ ~臨床データの研究利用に関するお願い~
◆唾液腺癌に対するTS-1補助化学療法の有効性に関する臨床データの研究利用に関するお願い
◆cN0舌癌に対する予防的頸部郭清術の前向き観察研究の臨床データの研究利用に関するお願い
◆骨吸収抑制薬関連顎骨壊死に関する臨床データの研究利用に関するお願い
唾液腺癌に対するTS-1補助化学療法の有効性に関する臨床データの研究利用に関するお願い
研究の概要・背景
唾液腺に発生する癌(唾液腺癌)は稀な疾患であり、また、種類(組織型)も多いため病態の解明や治療法の研究が進んでいません。
一般的に唾液腺癌の治療は、外科的な切除が行われています。しかし、唾液腺癌では局所再発(癌があった部位での再発)や遠隔転移(他の離れた臓器への転移)も多く、治癒の妨げとなっています。局所再発の予防に対しては、手術に併せて放射線治療が行われており効果が認められています。いっぽう遠隔転移の予防に対しては、いまだ標準的な治療法が確立されておりません。そこで本研究では、唾液腺癌の治療成績向上を目的に、唾液腺癌治療における遠隔転移予防を目的とした抗がん剤治療(術後補助化学療法としてのティーエスワン®)の有用性の検討を行います。
試料・情報の利用目的・方法(他機関への提供を含む)
唾液腺癌の治療を国際的なガイドラインに準じて標準治療法(外科的切除術 ± 術後放射線療法)で行います。治療が完了した段階で、本試験への参加協力を頂いた患者さんを、無作為的に2群(A群およびB群)に割りふり、A群では追加治療は行わず、B群では抗がん剤治療(術後補助化学療法:ティーエスワン®の内服を1年間)行います。その後経過観察(最長10年間)を行い、A群とB群で治療成績が異なるか否かを検討します。
対象者・期間
対象者:唾液腺癌に対するTS-1補助化学療法の有効性に関する研究に参加され治療を受ける方
研究期間:2017年8月1日~2019年3月31日
研究組織
JOOG(日本口腔がん臨床研究グループ)
信州大学医学部附属病院 歯科口腔外科 栗田 浩
データ利用のお願いと申し出について
個人を特定できるような状態でデータを使用することはありません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、本研究に関するさらなる説明をご希望の方、また、本研究において臨床データの利用を希望されない方は下記問い合わせ窓口にご連絡ください。研究不参加を申し出られたとしても、患者さんが不利益を受けることは一切ありません。
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 歯科口腔外科
担当医師:飯田 明彦、小林 孝憲〒940-2085 新潟県長岡市千秋2-297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX:0258-28-9000(代)
cN0舌癌に対する予防的頸部郭清術の前向き観察研究の臨床データの研究利用に関するお願い
研究の概要・背景
この研究は、臨床的に頸部リンパ節転移のない(これをcN0といいます)舌がんの切除術の際に、予防的な頸部郭清術(リンパ節の摘出手術)が有効かどうかを検討する研究です。
試料・情報の利用目的・方法(他機関への提供を含む)
診療録や検査所見から本研究に必要な臨床データを抽出し、個人が特定できないように匿名化してデータセンター(信州大学医学部附属病院臨床試験センター臨床研究支援システム)に登録します。本研究に参加している一般社団法人日本口腔腫瘍学会の指定研修施設など(69施設)から集められたデータを集計します。術後生存期間、術後無再発期間、術前後の生活の質(QOL)の変化などを評価項目とします。
対象者・期間
- 対象者:頸部転移のない舌がんで手術をされた20歳以上の方
- 研究期間(患者登録期間):当院倫理委員会許可日~2020年10月31日
研究組織
代表者:
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野 梅田正博
データ利用のお願いと申し出について
これらの臨床データは通常の診療の過程で取得されたもので、患者さんに新たな負担はありません。また、個人を特定できるような状態でデータを使用することはありません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、本研究に関するさらなる説明をご希望の方、また、本研究において臨床データの利用を希望されない方は下記問い合わせ窓口にご連絡ください。研究不参加を申し出られたとしても、患者さんが不利益を受けることは一切ありません。
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 歯科口腔外科
担当医師:飯田 明彦、小林 孝憲〒940-2085 新潟県長岡市千秋2-297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX:0258-28-9000(代)
疫学調査「口腔がん登録」に関するお願い
研究の概要・背景
この調査は、口腔がんの発生頻度や年次推移、地域差、リスクファクター、病態、予後を検討するものです。
試料・情報の利用目的・方法(他機関への提供を含む)
診療録や検査所見から本調査に必要な下記の臨床データを抽出し、個人が特定できないように匿名化してデータセンター(信州大学医学部附属病院臨床試験センター臨床研究支援システム)に登録します。本研究に参加している公益社団法人日本口腔外科学会ならびに一般社団法人日本口腔腫瘍学会の指定研修施設から集められたデータを集計します。
(具体的なデータの内容)
性別、診断時年齢、来院経緯、重複がんの有無および内容、喫煙、飲酒、アルコールに対する反応性、慢性的刺激の有無、緑黄色野菜の摂取、診断日、初発/多発、発生部位、側性、病理組織診断名、進展度・病期、治療の有無、治療態度、治療内容、原発巣の再建の有無およびその内容、病理学的リンパ節転移の程度、経過観察結果(腫瘍の有無、生存の有無、重複がんの有無および確定日)、最終経過観察日または死亡日とその時の病態(腫瘍の有無、生存の有無、死因)
対象者・期間
対象者:2018年1月1日以降に本院および共同研究機関で口腔がんと診断された患者さん
研究期間(患者登録期間):2018年1月1日~2022年12月31日
研究組織
共同研究機関:
公益社団法人日本口腔外科学会(理事長:古郷幹彦)
一般社団法人日本口腔腫瘍学会(理事長:桐田忠昭)
研究代表者:
信州大学医学部歯科口腔外科 栗田 浩
データ利用のお願いと申し出について
これらの臨床データは通常の診療で記録されるもので、患者さんに新たな負担はありません。また、個人を特定できるような状態でデータを使用することはありません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。 なお、本研究に関するさらなる説明をご希望の方、また、本研究において臨床データの利用を希望されない方は下記問い合わせ窓口にご連絡ください。研究不参加を申し出られたとしても、患者さんが不利益を受けることは一切ありません。
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 歯科口腔外科
担当医師:飯田 明彦、小林 孝憲〒940-2085 新潟県長岡市千秋2-297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX:0258-28-9000(代)
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死に関する臨床データの研究利用に関するお願い
研究の概要・背景
がんによる骨吸収を抑制する骨吸収抑制薬に関連する頸骨壊死(以下ARONJ)は頚骨への侵襲的処置後に発生することが多く、特に抜歯後はその危険性が高いとされています。新潟大学医歯学総合病院での調査結果において、骨吸収抑制薬の中でもゾレドロン酸(ゾメタ®)およびデノスマブ(ランマーク®)投与症例(観察期間1年以上)におけるARONJ発生率は151例中25例(16.6%)と高率でした。そのうち投与開始前3ヶ月以内に抜歯した41歯について抜歯前の画像所見を調べてみると、抜歯した歯の周囲骨の不透過性が亢進、すなわち骨の硬化性変化が疑われた20歯中8歯(40.0%)でARONJが発生しており危険因子と考えられました。しかし、これらの結果は少数の抜歯を対象としていることから、多施設における多数症例での観察研究を行なう必要性が生じ、当院もこの研究に参加することになりました。
試料・情報の利用目的・方法(他機関への提供を含む)
診療録から以下の情報を得、匿名化した形で新潟大学に情報提供を行ないます。
年齢、性別、喫煙歴、糖尿病、貧血の有無、栄養状態(Alb値)、BMI、原疾患、薬剤使用既往(血管新生阻害薬、ステロイド、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制剤)、抜歯予定歯の排膿、動揺度、術前予防的抗菌薬の有無、術後予防的抗菌薬の有無、投与期間、投与薬剤、ARONJ発生の有無、発生原因歯、Stage分類 |
デジタル化した画像情報を新潟大学に提供し、以下の所見について検討します。
抜歯対象歯周囲の骨硬化度、歯槽骨吸収度、根尖骨吸収度 |
対象者・期間
2012年4月から2016年12月にゾメタ®、ランマーク®投与を開始し、歯科口腔外科で投与開始前1年以内に抜歯を施行した症例
データ利用のお願いと申し出について
これらの臨床データは通常の診療で記録されたもので、患者さんに新たな負担はありません。また、個人を特定できるような状態でデータを使用することはありません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、本研究に関するさらなる説明をご希望の方、また、本研究において臨床データの利用を希望されない方は下記問い合わせ窓口にご連絡ください。研究不参加を申し出られたとしても、患者さんが不利益を受けることは一切ありません。
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 歯科口腔外科
担当医師:飯田 明彦〒940-2085 新潟県長岡市千秋2-297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX:0258-28-9000(代)