概要
近年人口の高齢化に伴って肺炎や肺がんが増加の一途をたどっております。当科の診療内容は呼吸器疾患全般にわたり、呼吸器がん・肺炎や結核などの感染症・COPD・気管支喘息・間質性肺炎・膠原病関連肺疾患・アスベスト関連肺胸膜疾患などが主な疾患です。
外来は担当医師が毎日複数で行っております。診断と治療内容が固まり、かつ地域のかかりつけ医で対応可能な場合は原則として地域の先生にお戻りいただき、必要な時にご紹介または来院してくただくようにしております。
入院病床は一般呼吸器46床、結核30床ですが、そのほか救急病棟・集中治療室も常時入院があります。また外来化学療法や入院早期からのリハビリテーションを積極的に進めておりますし、長期療養を要する患者さんの適切な施設・病院などの転院も地域医療サポートセンターの協力も得て患者家族の皆さんの要望も伺いつつ進めています。
主な疾患に関しての概要
肺炎
急性の呼吸器疾患ですが、近年は高齢者の誤嚥性肺炎が増えております。肺炎は日本の死亡原因の第4位を占めております。適切な抗生剤を使用するだけでなく、高齢化に伴う肺炎以外の疾患にも内科各分野・リハビリテーション・栄養サポートチーム・地域医療サポートセンターをはじめとする多職種で取り組んでいます。
肺癌
日本人のがん死亡の1位を占めます。高齢化にともなって増加しており、近年は種々の肺や心臓の病気および糖尿病を有した患者さんが増加しております。呼吸器外科・放射線科・病理診断科・緩和ケアサポートチームと協力して集学的な診療を行っております。またがん相談支援センターも併設されており、少しでも安心して治療が受けられるように病気以外の仕事や家庭の問題などを相談させていただく体制をとっております。
気管支喘息
吸入ステロイドの普及に伴って緊急受診は少なくなっておりますが、当科では重症の喘息を中心に診療を行っております。重症の発作時は人工呼吸管理を含めて集中治療が可能な体制をとっております。
平成28年9月より、重症気管支喘息の新しい治療「気管支サーモプラスティ」(BT治療)を導入しました。麻酔下で内視鏡を使って行う、体への負担の少ない治療法です。
写真提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
治療は3週間の間隔を空けて3回の入院で行います。
術後も主治医の下で薬物療法による喘息症状の管理を継続します。
BT治療について、詳細は下記のWebページをご覧ください。
◆BT治療情報サイト http://www.btinfo.jp/
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
喫煙による咳・痰・労作時呼吸困難といった症状をきたす病気です。当科では禁煙外来で禁煙を支援するとともに診断・治療方針の決定・理学療法さらに増悪時の入院治療・呼吸管理も可能です。在宅酸素療法中の患者さんには認定看護師が療養生活を含めて時間をかけて診療させていただいております。
間質性肺炎
原因不明のものや膠原病、薬剤の副作用などに伴うものを含めて診断治療に難渋することが多い疾患です。必要に応じて内視鏡検査や組織学的検査を行っており、病状に合わせた治療を行っていきます。
睡眠時無呼吸症候群
いびきや日中の眠気そして高血圧などをきたす病気です。入院でポリソムノグラフィーを行って診断しております。重症な場合は鼻マスクによる持続陽圧療法(CPAP)を導入して地域のかかりつの先生に長期管理をお願いしております。
専門外来
禁煙外来
喫煙による健康被害は、ガンだけではなく、心臓病や脳卒中、皮膚の老化やしわ・脱毛にも関係するといわれています。 また、女性の喫煙者には不妊や早産が多く見られます。 未成年者の喫煙についても、心臓病での死亡率が高くなり、未成年で喫煙を開始した人は50~59歳での死亡率が 顕著に高まるともいわれています。 タバコの害は喫煙している本人だけでなく、周りの人にも影響を及ぼします(受動喫煙)。 夫の喫煙によって、妻の肺ガンにかかる確率が1~3倍程度に増加するとされ、タバコを吸わない人の心筋梗塞による死亡のうち、 20% は周囲のタバコの煙が原因といわれています。 さらに子供の喘息も喫煙する家族が同居する場合は2倍に、母親が喫煙する場合は3倍にも増加することが報告されています。 こうした健康被害のほとんどは、年齢に関係なく、禁煙によって消失・軽減します。 禁煙をすることは確かに難しいことですが、ちょっとしたコツやニコチン代替療法などにより、現在は比較的スムースに止められる時代です。 もし、あなたに「タバコをやめよう!!」という強い意志がおありになれば、一度私たちにご相談ください。 あなたやあなたのご家族の明日の健康のために、お手伝いをさせていただきます。
日時
毎週 木曜日 13:00~14:00(完全予約制です)
一人 約15分(初診の場合は30分)
期間
1コース 12週間(診察回数5回)
お問い合わせ
内科外来 11番受付(内線2520)へどうぞ(月曜~金曜の15:00~16:00)
【禁煙外来 お問い合わせ】
長岡赤十字病院 内科・禁煙外来
〒940-2085 新潟県長岡市千秋2丁目297-1
TEL:(代表)0258-28-3600
医師紹介
氏名 | 職位 | 専門領域 | 認定資格等 |
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佐藤 和弘 (昭和60年卒) |
副院長 部長 |
日本呼吸器学会専門医・指導医 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・指導医 日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医 |
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石田 晃 (平成11年卒) |
部長 | 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本呼吸器学会専門医 日本内科学会総合内科専門医 |
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島岡 雄一 (平成14年卒) |
副部長 | 日本呼吸器学会専門医 日本内科学会総合内科専門医 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医 |
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木村 夕香 (平成16年卒) |
副部長 | 日本呼吸器学会専門医 日本結核病学会結核・抗酸菌症認定医 日本内科学会総合内科専門医 |
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古塩 純 (平成17年卒) |
副部長 | 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本呼吸器学会専門医 日本内科学会認定内科医 |
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江部 佑輔 | 出張医 | 日本内科学会総合内科専門医 日本呼吸器学会専門医 日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医 一般社団法人 日本禁煙学会禁煙専門指導者 |
患者さんへ ~臨床データの研究利用に関するお願い~
◆間質性肺炎合併肺癌に関する臨床データの研究利用に関するお願い
◆脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者の方の臨床データの研究利用に関するお願い
◆特発性間質性肺炎に対する多施設共同前向き観察研究に関する臨床データの研究利用に関するお願い
間質性肺炎合併肺癌に関する臨床データの研究利用に関するお願い
間質性肺炎は徐々に肺活量が減少し呼吸困難をきたす慢性疾患ですが、しばしば原発性肺癌が合併します。間質性肺炎を合併しない肺癌患者さんと比較して、抗癌剤などの治療では使用禁忌(投与してはいけない)とされる薬剤もあります。手術後や抗癌剤治療、放射線療法中に間質性肺炎が急性増悪を起こし、重篤な合併症になる場合があります。
このように間質性肺炎に合併する肺癌の病状は複雑で、標準的治療がまだ確立していません。私たちは間質性肺炎の患者さんを多数診療している全国の主要な施設と共同で、2012年1月から2013年12月の期間に間質性肺炎合併肺癌と診断した患者さんの臨床データ(喫煙、血液データ、呼吸機能検査、実施された治療内容、その効果判定など)を収集分析し、この疾患の有効な治療法を検索することを目指しています。
これらの臨床データは通常の診療で過去に記録されたもので、患者さんに新たな負担はありません。また、個人を特定できるような状態でデータを使用することはありません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。なお、本研究に関するさらなる説明をご希望の方、また、本研究に於いて臨床データの利用を希望されない方は下記問い合わせ窓口にご連絡下さい。
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 呼吸器内科
担当医師:石田晃、佐藤和弘〒940-2085 新潟県長岡市千秋2丁目297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX 0258-28-9000(代)
脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者の方の臨床データの研究利用に関するお願い
脳転移を有し、初回薬物療法としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を使用されたEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者さんにおいて、その病状、治療内容を調べ、治療の効果や、効果が高かった患者さんの特徴を調べることを目的としています。
私たちは肺癌患者さんを多数診療している新潟県内の主要な施設と共同で、2016年7月から9月の期間に上記に該当する患者さんの状態や治療について、情報をカルテから取り出します。それらの情報を新潟大学医歯学総合病院呼吸器内科に集め、分析・評価します。研究成果は学会や医学論文などに発表されることがあります。
これらの臨床データは通常の診療で過去に記録されたもので、患者さんに新たな負担はありません。また、患者さんの名前、生年月日、電話番号などの個人情報を直接特定できるような情報の取り出しは行いません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をお願い申し上げます。なお、本研究の対象者に該当する可能性のある方で、情報を研究目的に利用されることを希望されない場合は、下記の問い合わせ先にご連絡下さい。
<該当する方>
2008年1月1日から2014年12月31日の期間に、初回薬物療法としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(イレッサ、タルセバ、ジオトリフ)を使用された脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者の方
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 呼吸器内科
担当医師:佐藤昂、佐藤和弘〒940-2085 新潟県長岡市千秋2丁目297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX 0258-28-9000(代)
特発性間質性肺炎に対する多施設共同前向き観察研究に関する研究の臨床データの研究利用に関するお願い
<研究の概要・背景>
特発性間質性肺炎はその疾患の臨床経過や標準的な治療が十分に確立されておりません。本疾患は厚生労働省の特定疾患(難病)に位置づけされており、その臨床像及び標準的な治療指針の確立が急務です。
<試料・情報の利用目的・方法(他機関への提供を含む)>
全国の施設で本疾患の病歴・画像・検査所見・病理組織所見等を登録して検討することが研究内容です。治療に関しては参加施設で標準的な検査治療が健康保険の範囲内で行われますので、実質的な不利益はありません。むしろ本邦の指導的な施設でのMDD(臨床・画像・病理の多面的な検討)が行われますので、当院の診療の質の向上によって参加される患者さんに寄与できるものと考えられます。個人が特定できる情報は共有されません。
<対象者・期間>
特発性間質性肺炎と診断された患者さん。
研究期間:2016年12月1日から2018年3月31日まで。
<データ利用のお願いと申し出について>
これらの臨床データは通常の診療で記録されたもので、患者さんに新たな負担はありません。また、個人を特定できるような状態でデータを使用することはありません。本研究の目的と、臨床データ利用に関するご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、本研究に関するさらなる説明をご希望の方、また、本研究において臨床データの利用を希望されない方は下記問い合わせ窓口にご連絡ください。研究不参加を申し出られたとしても、患者さんが不利益を受けることは一切ありません。
【お問い合わせ先】
長岡赤十字病院 呼吸器内科
担当医師:石田晃、佐藤和弘〒940-2085 新潟県長岡市千秋2丁目297-1
電話:0258-28-3600(代) FAX 0258-28-9000(代)