概要
当院では平成25年11月より脊椎脊髄病領域の専門医が2名体制となり、新たに脊椎脊髄外科が創設されました。これにより当院では脊椎脊髄分野における最先端の高度な医療を提供できる体制が整い中越地区における医療ニーズに十分に対応することが可能になりました。
脊椎脊髄外科では脊椎に関係するあらゆる疾患・外傷に対応します。頚部痛や腰痛、さらには脊髄に起因する手や足のしびれなど病態の把握・診断・治療を速やかに行っていきます。
当院の治療の特徴
当院は3次救急を含む急性期医療だけではなく中越地区の総合拠点病院でもあるため、重篤な持病を抱えた方も多くいらっしゃいます。そのような状況に対応するため当院では積極的に低侵襲手術に取り組み、痛みやしびれから解放された自立した生活を送れるよう取り組んでいます。
また、外傷では脊椎の脱臼や骨折に加えて内臓損傷・頭部外傷・四肢外傷を併発した症例が多く、様々な科と連携を取り、迅速に治療が進むように取り組んでいます。さらに当院では県内に4台しか導入されていない脊椎ナビゲーションシステムを導入しており、より正確で確実な脊椎の再建術が可能となっています。
対象疾患
代表的疾患
- 頚椎 頚椎症性脊髄症・頚椎椎間板ヘルニア・頚椎後縦靭帯骨化症・頚髄腫瘍など
- 胸椎 胸髄腫瘍・胸椎後縦靭帯骨化症/黄色靭帯骨化症・脊椎椎体骨折・脊柱後側弯症など
- 腰椎 腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア・腰椎変性すべり症/分離すべり症など
その他脊椎の脱臼や骨折などの重篤な外傷などにも迅速に対応する体制を整備しています。
低侵襲手術の内容
2015年現在当院で実際に行われている低侵襲手術法です。
MED(Micro Endscopic Discectomy:内視鏡的椎間板ヘルニア摘出術)
内視鏡を使用して腰椎椎間板ヘルニアを摘出する方法です。従来の方法に比べて手術の創が目立たずおよそ2cm程度の創で手術が可能です(症例により適応できない場合もあります)。
MILD(Muscle-preserving Interlamina Decompression:筋肉温存型椎弓間除圧術)
おもに腰部脊柱管狭窄症や腰椎変性すべり症に対して行う術式です。背筋を損傷せずに神経の除圧操作が可能なため、術後の痛みが軽く回復がはやい手術です。
BKP(Balloon Kyphoplasty:経皮的後弯矯正術)
主に骨粗鬆症性椎体骨折に対して行う低侵襲手術です。高齢者の脊椎圧迫骨折 に対して椎体の変形を矯正し即時的に痛みを取ることができます。手術は経皮的に行われ、5mm程度 の創が2つだけですので体にかかる負担はかなり軽減できます。
CBT(Cortical Bone Trajectory:皮質骨軌道)
腰椎の固定術が必要な方にできるだけ背筋を傷めずにスクリューを刺入する方法です。従来の方法より熟練を要しやや難しい手技になりますが、体に対する侵襲が少なく術後の痛みが軽減できます。
X-stop
腰部脊柱管狭窄症に対して後方から棘突起の間にスペーサーを挟むことで立位、歩行時の痺れを軽減させるものです。腰椎の手術で避けて通れない神経への接触がないため比較的安全性が高い手術です。
低侵襲手術は病態に合わせてよりメリットの大きいものを選択していきますので、場合によっては適応できないこともあります。これらの他にも様々な低侵襲手術を取り入れており、今後も新たな低侵襲手技を導入予定です。
手術実績
平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | |
---|---|---|---|
腰椎変性疾患 | 38 | 80 | 79 |
頚椎変性疾患 | 19 | 33 | 43 |
胸腰椎外傷 | 12 | 23 | 37 |
頚椎外傷 | 11 | 17 | 24 |
その他 | 18 | 18 | 26 |
合計 | 98 | 171 | 209 |
医師紹介
氏名 | 職位 | 専門領域 | 認定資格等 |
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三浦 一人 (平成8年卒) |
部長 | 日本整形外科学会 専門医 日本脊椎脊髄病学会 指導医 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会・日本脊椎インストゥルメンテーション学会・東北整形災害外科学会・日本低侵襲脊椎外科学会・日本骨折治療学会 |
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森田 修 (平成12年卒) |
部長 | 日本整形外科学会 専門医 日本脊椎脊髄病学会 指導医 日本脊椎インストゥルメンテーション学会・日本側弯症学会・東北整形災害外科学会 |
受診方法
原則紹介制とさせていただいており、紹介状が必要になります。現在のかかりつけ整形外科医から事前予約いただくとよりスムーズに受診できます (病診連携システム)。
初診外来日は水・金曜日となります。